いつもありがとうございます
今年の論文式試験(必須科目)が終わって3週間が経とうとしてます
もともと今日は、
・今年の論文式試験の振り返り
・口述試験対策
についてお話ししようと考えてました
けれど、YouTube上で公開されてるLECの口述試験対策のガイダンスを見て考えを変えました
メール上だとツイートが表示されないので画像でも載せときますね
言及したLECの口述試験対策のガイダンスはこちらです
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=bwxlG7CgV0A
(口述試験の雰囲気がわかるので見ておくことをオススメします)
上のツイートの時点では再生数がまだ170回ちょっとで、昨年の論文式試験の受験者数が650人だったことをふまえると、
「受験生の5人に1人しか見てない」
は不正確な数字で申し訳ないのですが、僕の想定だとさすがに300~400再生ぐらいはあるんじゃないかなと考えてました
現に論文式試験の解答速報会の動画は2,000再生以上は回っているので
1人が1再生しかしてないとも限らないため、「視聴者数<再生数」ってことを考えると、口述対策の動画はやっぱ再生が少ないんですよね
きっと論文式試験が終わってすぐに、
「さぁ口述対策」
「今年の論文式試験の振りかえり」
って話をしても、受験生の熱量としてはまだチャージしきれていないってことだと思います
ちょうど今週末には選択試験の本番がありますし、
・口述対策
・今年の論文式試験の振りかえり
は選択試験が終わってからでも遅くはないだろう、って結論に至りました
(・・・といいつつ、口述試験についてまだ続けます)
だいたい口述試験は令和に入ってからの合格率も90%以上で推移してますし、合格できない試験ではないんですよ
「早めに準備をしないと口述試験に間に合わない」
っていう認識はどこかピンボケしていて、口述試験は、
・間に合うのか
・余裕をもって間に合うのか
の2択です
なによりも、論文式試験を受けた受験生は今の自分のヤル気と相談しながら受験勉強を進めていく必要があるので、
「毎日このくらいやれば1か月でこのくらい進みますよね」
という具体的な話を、来週以降に改めてこのレターに書こうと思います
一方で、ようやく今日の本題なのですが、口述試験に比べると短答式試験は、
・間に合うか
・間に合わないか
の超ハードな試験です
今年(令和5年)の受験統計を見ても、
短答受験者:2,698人
短答合格者:326人
ですから、短答式試験の合格率は12.1%です (科目免除のない「一般」受験者から算出)
ただし、志願者統計をもふまえると、初回受験の志願者884人のうち短答式試験の受験者が749人なので、短答式試験を受験する予定だった受験生が少なくとも135人(=884人-749人)います
この数字も加味すると、
短答志願者:2,833人
短答合格者:326人
で、短答式試験の合格率は11.5%まで下がります
(実際には、初受験 & 免除 & 短答受けてない、って受験生も含まれてるかもなので数字はおおよそです)
ざっくり9人中8人は望まない結果で本試験を終えているので、弁理士試験の短答式試験は、
「ふつうに勉強して受験すれば、ふつうに受からない試験」
と認識したほうがよさそうです
では、一般的な受験生にとっての「ふつうの勉強」の特徴はなんなのか
これは一言で言うと、
「問題演習量の不足、とりわけ年内の問題演習量が足りていない」
というのが僕の現在の仮説です
この点については、たとえば、
・条文の読み込みが足りない
・理解の"質"がよくない
って仮説を立てることもできるかもしれませんが、これらだと定性的すぎて検証不可能ですよね
読み込みとは?
理解の質とは?
って神学論争に沼りそうで怖いので、問題演習量の検証が終わるまでは考えないことにします
実際は、自分が受験生だった時代から、
「もっとラクな方法で受験勉強して合格しないかな」
ってことを考え続けてます
その一方で、僕自身が短答式試験に合格したのは間違いなく、
「過去問の演習量を増やす」
という愚直な方法に切り替えたからです
何年も不合格でいるよりも、過去問の演習量を増やしてサッサと合格するのが現時点では最もラクです
この「過去問の演習量を増やす」というのは、より具体的には、
「特許庁が本試験問題として公開している23年分を解きましょう」
ということです
「ふつうの受験勉強」だと、過去問演習は10年分がスタンダードですよね
市中で手に入る過去問集が今までは10年分だったので、これは受験生にはどうしようもなかったことです
現実問題としては、直近10年分の過去問演習ですら不十分という受験生も一定数いるでしょう
ただ、「過去問10年分」はやろうと思えばできそうなのがトラップで、演習を後回しにするかっこうの要因になっていると観察しています
その点、
「過去問は23年分やりましょう」
とお伝えすれば、
「今からやらないと間に合わない」
とリアルに感じてもらえるはずです
もっとも、
「とてもじゃないけど、過去問23年分なんて終わらない」
と敬遠されては元も子もないので、23年分の過去問演習を終わらせて、実力もしっかりつくように、リリースしている肢別過去問集では以下の6つの工夫をこらしています
工夫1. 最初から最後まで無理なく完走できる「学習体系」をゼロベースで作った
市中に出回っている過去問集の「問題の大ざっぱな並び」を「立派な体系」だと評価する人はさすがにいないでしょう
「体系」というからには、学習者の理解の深まりに貢献するものでなければ意味がありません
この点については、
「分かる≒分ける」
という話を1度は聞いたことがあることと思います
「解像度」と言い換えることもできますが、ある対象について「違い」を見分けられることが理解のカギです
そのため、たとえば特許・実用新案については、過去23年の本試験問題を詳細に分析し、全体を80の単元に細分化しました
特許法の序盤の難所の1である「国内優先権」も、
・手続が問われている問題
・効果が問われている問題
に分けることで、より攻略しやすくしています
同様に、毎年必ず出題される明細書等の補正も、
・補正の対象書類
・補正の時期
の観点から4分割し、「何が問われているか」・「何が理解できれば正答できるのか」をクリアにすることに成功しました
手薄になりがちな実用新案法もしっかり手当てしています
このように、出題数の多い特許・実用新案も「食べやすいサイズ」に細かく区切ることで、消化(=理解)を助けています
また、単元の細分化によって学習の区切りをつけやすくなっているので、細切れの時間を活用しながら大量の過去問演習ができるようにしています
工夫2. 単元内の過去問も「解きやすい順」=「実力をつけやすい順」に並べ替えた
各単元は過去問を肢ごとに、
・解きやすい問題 ⇒ 複雑な問題
・条文(規範)の知識だけで解ける問題 ⇒ 事例問題
という統一されたルールで並べています
どの単元も序盤は解きやすい問題を並べることで学習のハードルを下げ、かつ、序盤に解いた問題を通じて培った力を終盤で活用できるようにしています
この点については、
「似たような問題が並んでると、前の問題が次の問題のヒントになって無意味なのでないか?」
といった疑念があるかもしれません
しかし、パターン認識の力も短答式試験の問題を解くための実力のうちの1つなので、
「似たような問題だから解ける」
というのは実力がついている(=パターンを見分けて解答できている)証です
もちろん、直前の問題がヒントになりすぎることのないよう、問題の並び順には細心の注意を払っています
別の言い方をすると、解き進めていけば普通に間違えると思いますので、たくさん間違え、解説を読むことを通じて実力を養っていってください
工夫3. 解説を読めば「正答に至るまでのアプローチ」が身につくよう、紙面を割いた
市中で手に入る過去問集と大きく異なるのは、解説の懇切丁寧さです
すべての問題について、
条文(規範) ⇒ あてはめ ⇒ 結論
という「正答に至るまでのアプローチ」を省略することなく書いています
また、正解を出すために判例の知識が必要な問題については、判決文をそのつど示し、最高裁公式サイトへのリンクを貼っています
過去問演習を進めることによって、条文・判例には繰り返し接触することができるので、この肢別過去問集単体で短答式試験の正解に必要な条文の理解が深まるようにしています
工夫4. 問題冊子を別冊で配ることで大量の演習を可能にした
上記のサンプルページにあるように、肢別過去問集は、
・左ページに問題
・右ページに解答/解説
の見開きの構成になっています
一方で、演習時にはまずは問題のみを大量に解きたいというニーズを満たすため、別冊で問題のみの冊子も今年からお渡ししています
肢別問題集は行間に余裕をもたせて問題を配置いていますので、各自が書き込みをしながら学習を進めることができます
工夫5. 問題・解説の不明点や進捗の相談に対応する環境を用意した
短答式試験を1度でも受験した学習経験者であれば、収載したすべての過去問ついて解説を読んだだけで理解ができるように丁寧な説明を心がけていますが、学習を進めていく過程で疑問が生じることもあるかと思います
また、受験勉強の進め方について確認したいことが出てくることもあるでしょう
そうした疑問や相談に対応するために、現役受験生からの質問に回答する環境も提供しています
回数に制限はありませんし、追加の費用も不要です
受験生のつまづきに個別に対応することは、教材をよりよいものに改善するために必要なことです
独学で受験勉強を進めていたり、地方在住で身近に質問・相談する相手がいない場合も、今回の教材で提供する学びの環境を活用してください
工夫6. 復習時間や学習効率を考慮し、過去問の演習ペースを計画した
以上のように、
・新しい学習体系
・解きやすい問題の並び
・懇切丁寧な解説
・問題冊子の提供
・質問対応
といった工夫で学習しやすくしていますが、いかんせん特許・実用新案だけでも問題数は2,300肢以上と膨大です
これだけの分量を1度にお渡ししたところで、すべてを学習することはできません
手を付けられない問題が山積しているのは精神衛生上よくないです
また、どんな教材にも合う/合わないはあるので、1度にまとめて決済するのは高リスクです
そこで今回は1回あたり200肢前後の演習量として小分けし、連続してリリースすることにしました
すでに、特許・実用新案の第1~4章はリリース済みです
「弁理士・短答式」短答過去問23年分・全肢解説
【特許・実用新案】(1)(2) 第1~4章
⇒ https://benrishi.booth.pm/items/4925299
この第1~4章は毎年必ず出題される分野ですが、とりわけ拡大先願と国内優先権は、問題文の読み方に慣れるまで時間がかかることもあるのでじっくりやりましょう
「弁理士・短答式」短答過去問23年分・全肢解説
【特許・実用新案】(1)(2) 第1~4章
⇒ https://benrishi.booth.pm/items/4925299
そして、この次の学習メニューとしては、「特許出願の時期的要件」の最後に「パリ条約優先権の主張」を学んだので、ここで「パリ条約・TRIPS協定」の過去問23年分を1回やっておきましょう
国内優先権は、パリ条約優先権をもとに制度がつくられているから、国内優先権を学んだ直後に接続させたほうが理解しやすいです
また、パリ条約・TRIPS協定の過去問演習を通じて、今後攻略する国内法のすべての法域の知識をブラッシュアップすることもできます
もちろん、パリ条約・TRIPS協定についても過去問演習の取り組んだときの効果が最大にするために、完全にオリジナルな学習体系で攻略してもらいます
いまこの時期、夏の間に「パリ/TRIPSを1回やっておく」と、秋以降、とくに年明けからの勉強がラクになります
逆に言うと、いまパリ・TRIPSをやっておかないと、PCT・著作権法・不正競争防止法の勉強時間が圧迫されますから、キツい戦いを強いられます
とくに今年は、不正競争防止法の令和5年の法改正対応も必要ですので、改正対応が不要なパリ・TRIPSは今から早めに手をつけて貯金をつくっておきましょう
その全肢解説「パリ・TRIPS」は、令和5年度の本試験問題の解説を加えた最新版をリリースしました
「弁理士・短答式」短答過去問23年分・全肢解説
【パリ条約・TRIPS協定】
⇒ https://benrishi.booth.pm/items/4943584
今日から3日間、7月23日(日)23:59までの期間限定で、昨年度の22年分バージョンと同じ価格に据え置いて提供しますので、今週末で手に取ってさっそく過去問演習をスタートさせてくださいね
今日のレターは来年の短答式試験の合格を目指す受験生に向けて、攻略のための学習プランをお伝えしました
このレターを読んで、「過去問の演習量を増やすことで合格する」という一歩を踏み出す受験生が1人でも増えてくれたらうれしいです
それでは、本日も最後までお読みくださいましてありがとうございました
追伸:
今回のレターも、随所にハイライトを入れてより伝わりやすいメッセージにしました
メール末尾の、
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