条約と国内法と、どうやって受験勉強を融合させるか

条約と国内法と、どうやって受験勉強を融合させるか

今の時期から「パリ条約・TRIPS協定」の過去問演習やりましょう、って話を補足します

2023/7/23

いつもありがとうございます
選択試験を受験した受験生の方は大変おつかれさまでございました
口述試験対策・論文式試験(必須)の振り返りは明日以降に改めてメッセージをまとめるとして、今日は短答式試験対策について(いつもよりはおそらく短めの)補足を書きます
さて、いきなりぶっきらぼうな表現で申し訳ないですが、短答式試験は「基本的には間に合わない試験」ですよね
この場合の「間に合う」は、「本試験当日、試験時間までに本試験会場に着く」ことだけを意味してるんじゃなく、当然ながら、

「短答式試験の本試験当日、間に合って会場に到着し、3.5時間で60問解答して合格ラインを超える

ことを意味します
合格者は受験生9~10人中1人ですから、「短答式試験は、基本的には間に合わない」と結論づけても大外れではないと考えています
こうした視点に基づきつつ、
前回のレターで書きました
ポイントとしては、

今から過去問演習を多めに=23年分やりましょう

ということを書いています
過去問演習の進め方については、肢別過去問集の質問対応をしているYOUTUBE動画でお話してるのですが、

1つの問題(=肢)につき、2回連続で正解できるまで演習してください

とお伝えしてます
短答式試験は1つ1つの選択肢は「〇 or ×」の単純正誤ですから、50%の確率で"正答"できてしまいます
そのため、正答と正解とを分けて

「正解」=「正答に至るまでのプロセス」を説明できる

と定義しています
お示しした上記のスライドに記載したように、

正答に至るまでのプロセス=出題テーマの把握+「規範⇒あてはめ⇒結論」

で答えが出せること、という考え方です
ということは、〇×が合っていてもただ合ってただけならば「不正解」ということですね
弁理士試験の受験生は頭のいいひとが多いですから、問題文中の
・場合がある ・場合がない ・必ず
といった特定フレーズは、正誤の手がかりになってしまうことはすでにご存じでしょう
あるいは、弁理士試験に限らず法律の試験全般がそうですが、短答式の問題で問題文中に理由の副詞節が入っている場合、たとえば、
・~なので、 ・~だから、
という表現あれば、その選択肢は誤りの選択肢である可能性が極めて高い、ということも肌感覚としてつかんでいる人も多いでしょう (サラッとテクニック的なことを書きました)
もちろん、この手の問題文のクセを手がかりに選択肢の正誤判断ができたとしても、それは上記で定義した正解とは一切無関係です
ふだんの過去問演習では、こうしたテクニックとは関係を断ち切って、

正答に至るまでのプロセス=出題テーマの把握+「規範⇒あてはめ⇒結論」

を脳内でトレースできるか否かを、厳しくトレーニングしていく必要があります
関連して、弁理士試験の短答式試験では著作権法・不正競争防止法、条約の一部を除いて「個数(いくつあるか)問題」が主流の出題形式であることをふまえると、
・5肢択一の問題 ・組み合わせ問題
では使うことができる、

「他の選択肢の正誤もふまえながら相対的に答えを選ぶ」

ことも、日ごろの過去問演習では排除しなければならないです
要するに、合格を確実にしたいならば、

過去問演習は肢別に厳しくやっていきましょう

って結論になります
この結論を主張するからには受験生が短答合格まで使い続けることができる肢別過去問集を用意しないと言い放しになるので、わざわざ23年分の本試験問題の解説をすべて書くという暴挙・苦境に自らの身を置いています (主張するって割に合わないですよねw)
現実はもっとシビアで、短答式試験は1年で60問、1問で5肢だとすると1年で300肢、23年分だと6900肢にも及ぶ膨大な量です
実際は空所補充問題があったり、著作・不競は平成29年の追試がないから肢別でカウントすると問題数は多少少なくはなります
それでも毎年20問(平成27年はおよそ20問)出題される特許・実用新案は23年分トータルで2,300肢を超えますし、1科目だけでも長い道のりなんですよね
さらに、上述したように、過去問演習は、

連続して2回正解(≠正答)する

ことをゴールとして設定してるので、すべての問題は繰り返す必要があります
ここまで書くと、

短答式試験は、今からやってようやく間に合うか/間に合わないかの瀬戸際にいる

と、僕が強調している理由がわかっていただけると思います
そりゃあ僕だって、もっとラクに合格できる方法が見つかれば真っ先にあなたにお伝えしたいです
けど、ラクな方法を提唱しても合格ラインに到達できなきゃ全くもって意味がないので、苦しい道であっても合格可能性が高い方法をまずは提案しています
なにしろ、合格しないのが1番苦しいですから
そんな苦行を提案してる立場としては、合格可能性を減らさず、むしろ合格可能性を高めながら少しでも効率的に受験勉強を進めるやり方があれば積極的に提言します
その1つが、

条約の過去問演習は国内法と並行して進めましょう

ということです

拡大先願(29条の2) ⇒ 国内優先権 ⇒ パリ条約優先権の主張(43条)

まで演習して来ました

ここで、通常の思考であれば、

「パリ条約優先権、そういえばそういう規定も勉強したよな」

と、気になっているはずです
この「気がかり」を勢いとして利用して、パリ条約優先権(パリ4条)の過去問演習に入っていきましょう
この理由に加えて、ここまで問題演習してきた、

拡大先願(29条の2) ⇒ 国内優先権

は、特許法の中でも複数の制度をふまえて正誤判断が求められる最も複雑な単元ですから、急いで次の単元に進むよりも、復習(=解き直し)に時間をかけたほうが得策です
この点、パリ条約・TRIPS協定はその規定が「あるかないか」といったシンプルな問題も多いため、特許法の解き直しと並行して過去問演習をするのにはうってつけの科目です
そのパリ条約・TRIPS協定の進め方ですが、まずは特許法43条の問題演習が終わったあとに、「パリ条約優先権」の過去問を一通り解きましょう
パリ条約優先権は本試験でも毎年のように出題されている単元ですし、特許法の国内優先権の規定と密接に関連しますから、国内優先権の直後に過去問演習することで、理解に厚みをもたせることが期待できます
パリ優先権の過去問演習が終わったら、次はパリ・TRIPSの「一般的規定・基本原則」の過去問演習に着手するのがオススメのルートです
パリ条約の一般的規定・基本原則は、同盟国民がどうとか、パリ優先権の問題を考える上でも関係してきます
また、TRIPS協定はパリプラス・アプローチと言われていることをふまえると、パリ条約の一般的規定・基本原則を学習した直後に、TRIPS協定の一般的規定・基本原則を持ってきたほうが理解が深まりやすいことはわかっていただけますよね
こうやって、数珠つなぎに学習できる単元は連結して演習するのが効率的・効果的、かつ大量に過去問演習を進める上でのコツです
残りの単元も、基本的に国内法の過去問演習が終わった直後にパリ⇒TRIPSの順で演習していきます
まずは、

パリ優先権⇒パリ条約の一般的規定・基本原則 ⇒ TRIPS協定の一般的規定・基本原則

で条約の過去問演習は一時停止して、再び特許法の次の単元である「出願審査・明細書等の補正」へ戻る、ってことですね
本日のレターでお話したパリ条約・TRIPS協定の過去問演習の進め方は、肢別過去問集「パリ・TRIPS」編をお求めの現役受験生を対象に質問対応としてご案内しているYOUTUBE動画でも詳しく解説しています
その肢別問題集「パリ・TRIPS」編ですが、令和5年の本試験問題のさっそく追加をした、最新版をすでにリリースしました
本日いっぱい、昨年度にリリースして大好評だった22年分の肢別過去問集と同じ価格で据え置いてのご提供です

「弁理士・短答式」短答過去問23年分・全肢解説 【パリ条約・TRIPS協定】 ⇒ https://benrishi.booth.pm/items/4943584

今日お話ししたスケジュール感で過去問演習を進めようという意気込みをお持ちであれば、本日中に入手して、さっそく過去問演習に着手してくださいね (明日、令和5年7月24日(月)に入ったら価格を改定=値上げします)
ということで、今日は来年の短答式試験に間に合わせるための過去問演習の進め方について補足しました
今日のレターの内容が、あなたの受験勉強に役に立つことがあればうれしいです
最後までお読みくださいましてありがとうございました
追伸:
肢別問題集の第3弾、第5章・6章の原稿もすでに脱稿して校正に回しています

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